太郎と美林の物語り
ミー
赤沢に住む美林ちゃんは、その日もオオヤマレンゲのお世話をしながら、小川を下っていました。季節は春。岩つつじの花も赤く咲き、美林ちゃんはそれを見つけながら、木曽川まで下って来ていました。花に夢中の美林ちゃん。すると、あたりが急に暗くなり、「ゲッゲッゲロ~!」と怪しい声、黒い影、それは木曽川に住む「カエル岩」こと、ゲロッパでした。「ゲッゲー、かわいいおまえを食べてやる」「キャ~助けて~」
美林ちゃん絶対絶命!
その声を聞きつけたのが、その日もカメといっしょに、のん気に釣り糸を垂れていた、寝覚の太郎ちゃん。太郎ちゃんは勇気をふりしぼりゲロッパに立ち向かいました。しかし、大きなゲロッパに二人とものみこまれそうに!
その時、二人は気づいたのです。「あ!僕、飛行自在の秘術があったんだ」「私も正体あかしちゃうわ。実は私、天女なのよ」二人は手を取り合って空へ舞い上がり、「それー」ゲロッパの上をクルクル回りはじめました。ゲロッパは目を回し倒れてしまいました。こうして出会った二人は、小川と木曽川を下ったり上がったりしながら、毎日いっしょに遊びました。
心を入れかえたゲロッパも、時々二人と一緒に、上松のピーアールの為に働いたということです。